(前回からの続き)
寺子屋リンクスが中3以降の受入を制限している理由はいくつかある。
①寺子屋の方針では芽が出るまでに時間がかかるから。
寺子屋の指導の特徴として、他塾に比べて生徒の行動に任せる部分が多いことが挙げられる。
自分で計画を立てさせ、自分で教科書を読ませ、疑問が生じたら自分で手を挙げて質問しに来させる。
間違えたらまずは自分で原因を追跡してもらうし、単元ごとの小テストも自分から申告して受検してもらう。
もちろん、完全に放任しているわけではない。
生徒たちの行動は常に観察していて、必要に応じて指示を出す機会をうかがっている。
いま各生徒がどこまで理解しどこでつまずいているのかは聞かなくたっておおむね把握しているし、おかしな行動や手が止まっている様子を発見すれば、すぐに喝が飛ぶ。
要するに、寺子屋は1から10まで手取り足取り引っ張って知識を詰め込むタイプの指導ではないということである。
あくまで塾生自身の自発的な行動を待つ関係上、いつもこちらの計算通りに動くとは限らない。
勉強から逃げてきた期間が長期間になればなるほど、なかなかこちらの指示通りには動いてくれなくなるし、動いたとしても指示した以上のことができないことが多い。
自己保身のために、息を吐くように嘘をつくことだってある。(もちろん全部バレている)
それでも時に説教をしながら、時に元気づけながら、自発的に動くのを待つのである。
だから講師が先導して半強制的にみっちり教え込む形式に比べ、結果が出るまでにはどうしても時間がかかる。
「結果が出るのは早くても半年後だと思って下さい」
契約前の面談で、私は必ずこう伝えている。
子ども自身の行動やマインドが変わり、それが正しい学習習慣として定着するまでには、最低でも2~3ヶ月は必要だ。それが目に見えて学力の変化に表れるまでの期間を考えると、やはり少なくとも半年は見積もらなければならない。
人によってはそれ以上かかる。それまで抱えてきた逃げ癖のせいで、1年以上成績が泣かず飛ばずなんてこともないわけではない。
もしうちが中3の夏から動いた生徒を引き受けてしまったら、変化が出始めた矢先か、あるいは何の変化もないまま入試の日を迎えてしまう。
そういうご家庭は、寺子屋なんかではなく、講師配備がもっと潤沢で、それこそ付きっきりでみっちり教え込みが可能な他所の塾にお任せした方が良い。
(次回[3/4]へ続く)