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応用問題との向き合い方と過去問について(2)

(前回の記事はこちらから)


一方で私の場合は、表面上の点数にはそれほど重きを置いていない。


大切なのは中身――基本問題を正解するまでにたどった思考の足跡――を追跡する。

追跡の結果、確固たる根拠のないまま、ただなんとなく正解を導いていると分かった場合、見かけ上はどんなに丸が多かろうと、「基本が出来ていない」と判断する。この子は一見すると60点以上は取っているけど、実際の理解度はそこまで高くないだろう、などと察知するわけである。


一例として、小六の算数における【速さ】を例にとってみよう。


速さとは、一秒(一分・一時間)あたりに進む距離を示す指標のこと。

これは五年生で学習する一単位あたりの数量の派生分野で、本来なら特に目新しい内容でもないのだが、一部の学校教員や塾講師から下のような図を与えられ、半ば公式化した機械的な指導をされる事例が少なくない。


たとえば「速さ」を求めたい場合、「は」の部分を指で隠して、【時間】分の【道のり】、すなわち【道のり÷時間】をすれば、速さの値が求められるのだという。一見すると便利な代物に見えるが、個人的には子どもたちから考える力を奪う呪いの図であるように感じている。


確かに、これによって「とりあえず」の点数は取れる。理解しているように「見える」。しかし速さの定義(=1秒あたりに進む距離)が何たるか感覚的に会得しないままなんとなく点を取れたという経験をしてしまうため、次のような問答が頻繁に起こる。


「速さって何を表しているかな?」

「ミチノリワルジカンです」

「それはただの計算式ね。で、その式で求めるところの速さとは、一体何を意味してるんだろう?」

「・・・???」


ここで、保護者と指導者との間に、既に「出来る」に対する基準の食い違いが起こっている。


(次回へ続く)


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